• 2025.05.04(木)
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工務店経営におけるSNSマーケティングの重要性と実践的アプローチ


住宅業界を取り巻く環境は近年劇的に変化しています。人口減少や少子高齢化、住宅ニーズの多様化、ライフスタイルの変化、さらにはデジタルシフトの加速によって、工務店の集客や営業活動は従来のやり方だけでは立ち行かなくなっています。折込チラシ、住宅展示場、紹介といった従来の手法も依然として効果はありますが、そこにSNSを組み合わせることで、認知度向上、ブランド構築、見込み客育成といった面で飛躍的な効果が期待できます。

本コラムでは、SNSマーケティングの重要性と、YouTube、Google、Facebook、Instagram、LINE、TikTok、X(旧Twitter)の特徴を踏まえ、工務店が実践できる具体的なステップや組み合わせ戦略まで詳しく解説します。


1. なぜ工務店にSNSマーケティングが必要か

工務店の課題は多岐にわたります。競合との差別化、ブランドの構築、若年層へのアプローチ、見込み客の育成、契約率の向上など、課題は尽きません。その中でSNSが果たす役割は次の3つに集約されます。

  • 認知度向上(Reach)
     SNSは従来のメディアでは届かなかった層に情報を届けることが可能です。特に若年層や共働き世帯、情報収集にネットを多用する層にとって、SNSは重要な接点になります。

  • 信頼構築(Trust)
     工務店の仕事は高額で長期にわたる契約が前提です。SNS上で施工事例、スタッフの顔、現場の様子、顧客の声を発信することで「見える化」し、安心感と信頼を育めます。

  • エンゲージメント(Engagement)
     コメント、いいね、シェア、DMなどを通じて双方向のコミュニケーションが可能です。ファンを増やし、ブランドの支持者を育てることで長期的な集客力が強化されます。


2. 各SNSの特徴と活用アドバイス

YouTube:信頼を築く長尺コンテンツ

10~40代が主なユーザー層で、施工事例の紹介やモデルハウスのルームツアー、現場の職人インタビュー、家づくりの流れ解説などが最適です。動画は検索経由でも視聴されやすく、SEO対策にも有効です。

  • 実践例
     「1分でわかる家づくりの流れ」
     「職人インタビュー:こだわりの家づくり」
     「ルームツアー:完成見学会の裏側」

Google:検索を制するSEOと広告

全年齢層が対象ですが特に40代以上に強く、Google検索で上位表示を目指す記事やページ作りが重要です。「地域名+工務店」「自然素材の家+地域名」のようなSEOワードを意識しましょう。Google広告も併用し、検索ニーズが顕在化している層へ直接アプローチします。

  • 実践例
     「○○市の自然素材住宅なら当社へ」SEO記事
     Google広告で「工務店 ○○市」検索者に広告配信

Facebook:地域密着のファンづくり

30~50代の地域住民向けに親和性が高く、現場見学会告知、地元イベント、施工事例、お客様の声を積極的に投稿します。コメント欄やメッセンジャーでのやりとりは、顧客との関係構築に有効です。

  • 実践例
     「○○市完成見学会のお知らせ」
     「お客様インタビュー記事」
     「地元小学校の校庭整備ボランティア活動報告」

Instagram:デザイン訴求力で若年層を惹きつける

20~40代向け。施工事例写真、インテリア、完成現場、家づくりの過程をビジュアルで魅せるのが鉄則です。リールやストーリーズで動きのあるコンテンツを提供し、ハッシュタグを駆使して新規ユーザーにリーチします。

  • 実践例
     「#ナチュラルモダン」「#北欧風住宅」で施工事例投稿
     「家づくりの1日」をストーリーズで連続投稿

LINE:既存客/OB施主との継続接点

全年齢層が対象。友だち登録促進から、見学会案内、キャンペーン告知、ニュースレターの配信が可能です。特に30代夫婦に対しては、有益な情報提供や優待情報が有効です。またOB施主との接点強化にも有効に活用できます。

  • 実践例
     LINE公式アカウントから「○○見学会参加予約リンク」送信
     「OB施主さま限定イベント」の告知

TikTok:短尺動画で若年層に刺さる

10~30代向け。現場のタイムラプス、職人技の紹介、家づくりの裏側、5秒でわかる豆知識など、テンポの良い短尺動画が有効です。ブランドの親しみやすさを演出でき、これから家づくりをされる方への訴求が見込まれます。効果音などを加えることで臨場感も生まれるでしょう。

  • 実践例
     「10秒でわかる断熱材の秘密」
     「大工さんの1日タイムラプス」

X(旧Twitter):リアルタイム性と拡散力

20~40代が中心。現場進捗の実況、キャンペーン速報、災害時のお知らせ、建築の豆知識、ニュースへの即時コメントなどが有効です。共感を呼ぶ「家づくりあるある」もおすすめ。特に即時性が高いことが特徴ですので、見学会開催状況や告知などに向いていると考えられます。

  • 実践例
     「今日の現場進捗」
     「#家づくり失敗談」シリーズ投稿
     「台風接近時の現場対策実況」


3. 効果的な組み合わせ例

単独運用より、複数のSNSを連携させることで相乗効果が期待できます。以下は代表的な組み合わせ例です。

  • YouTube × Instagram × LINE
     YouTubeのルームツアー動画をInstagramで告知し、視聴者にLINE登録を促す。

  • Google × Facebook
     Google広告やSEO記事で集客し、Facebookで地域密着情報を発信し、リピーター化。

  • TikTok × Instagram × X
     TikTokで短尺動画を流し、Instagramでビジュアル訴求、Xでリアルタイムの会話を生む。

  • LINE × Facebook × Google広告
     LINEでイベント案内→Facebookで事後報告→Google広告で新規獲得の流れを作る。


4. 実践までのステップ

SNSマーケティングは一気に広げるのではなく、段階的に進めることが重要です。

目標設定
「認知拡大」「見学会集客」「LINE登録者数増加」など、具体的なKPIを決めます。

ターゲット設定
施主候補の年齢層、ライフスタイル、価値観を明確化。

媒体選定
ターゲットと相性の良い媒体を優先的に選び、少数から始める。

コンテンツ企画
各媒体の特性に合わせ、画像・動画・テキスト・ライブなど多様な企画を立てます。

運用体制構築
投稿スケジュールを作り、担当者を決め、継続的に発信。

効果測定と改善
SNSアナリティクスやGoogleアナリティクスを用いて数値を可視化し、改善策を講じる。


5. まとめ:工務店こそSNSマーケティングを武器にすべき理由

工務店にとって、SNSは単なる情報発信の場ではなく、
「見込み客との接点」「信頼の醸成」「ブランドのファン育成」の場です。

競合との差別化が求められる今、地域密着型の強みを活かし、SNSを使いこなすことで、より多くの顧客に価値を届けることができます。

まずは1つの媒体から始め、徐々に組み合わせを増やし、目標に応じてPDCAを回してください。小さな積み重ねが、やがて地域No.1ブランドの座につながるはずです。

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