凡事徹底している工務店は業績が良い
『当たり前を極めた先にしか、繁栄はない』
地域に根ざした住宅会社が生き残るために必要なことは何か。営業力?設計力?商品力?もちろんそれらも大切です。しかし、私たち株式会社ソルトが全国の工務店経営支援をする中で、共通して業績が良い会社に見られるのは、もっと基本的なこと――『凡事を徹底する力』です。
これは決して耳障りのよい精神論ではありません。むしろ当たり前”をバカにせずブレずにやり続けるという泥臭い積み重ねが、工務店経営において圧倒的な差を生み出している現実なのです。
「凡事徹底」とは何か?
凡事徹底とは、文字通り『誰もができるような平凡なことを“徹底してやり切る』ことを指します。
例えば次のようなことです。
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電話やメールへの即時対応
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毎朝の掃除・朝礼を欠かさない
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契約書類・見積書の誤字脱字がない
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社内の情報共有をきちんと行う
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約束を守る、時間を守る
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お客様への報告・連絡・相談が密で丁寧
『そんなの当たり前だよ』と思った方も多いかもしれません。しかし、これらを毎日、誰一人欠けず、どんな状況でもブレずにやり続けている会社は、実はごく少数です。
凡事が業績に直結する理由
なぜ、こうした“平凡なこと”が業績向上に直結するのでしょうか?その理由は大きく3つあります。
1.信頼が積み重なる
工務店は高額商材を扱うビジネスです。お客様は契約までに多くの不安を抱え、慎重に判断を重ねます。そんな中で、担当者が時間にルーズだったり、言葉遣いが雑だったり、書類に誤字があったりすると『この会社、大丈夫かな?』と一気に信頼が崩れてしまいます。
逆に、当たり前のことを一つ一つ丁寧に積み重ねていけば、『ここなら任せられる』という安心感が生まれ、紹介・リピートにもつながります。特に何となくいい加減な事が増えているように感じる昨今、これらは非常に重要と感じています。
2.社内の乱れが減る
凡事徹底は、社内の組織づくりにも直結します。例えば、日報をきちんと書く習慣がある会社は、現場と営業、設計と施工などの部門間連携がスムーズになります。逆に、こうした基本が徹底されていないと、『聞いてない』『言ったつもり』『後回し』といったミスやトラブルが頻発し、結果として利益が吹き飛んでしまうことも珍しくありません。
3.差別化になる
住宅業界において、“商品での差別化”は年々難しくなっています。性能・デザイン・自然素材など、ある程度は他社も真似できます。しかし、『スタッフ全員が礼儀正しく、気配りが行き届いている』『どの現場も整理整頓されていて清潔感がある』といった“人間性や現場力での違い”は、簡単には真似できません。凡事徹底は、まさにこの差別化の源泉なのです。
凡事徹底を文化にするには?
とはいえ、凡事徹底は言うほど簡単ではありません。ポイントは、トップが先頭に立ち、仕組みによって強制し、継続的に見える化することです。
● トップが体現者になる
まずは経営者自身が“徹底の姿勢”を見せることです。社長が時間を守らなければ、社員も守りません。社長が現場に関心を持たなければ、職人も気を抜きます。凡事徹底はトップの空気感で決まります。
● ルールと仕組みに落とし込む
『凡事』を気合いや気づきに任せていては徹底されません。たとえば、
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朝礼チェックリスト
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現場整理の写真提出ルール
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クレーム報告フォーマット
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社内SNSでの業務報告義務化
といった、仕組みとして運用する工夫が重要です。
● 見える化と承認を忘れずに
日々の凡事が組織にどれだけ貢献しているかを、数字や写真、共有ツールを通じて“見える化”しましょう。そしてそれを「ちゃんと見てるよ」と承認することで、組織全体のモチベーションにつながります。
凡事を極めた工務店の実例
株式会社ソルトが支援してきたある地域工務店では、『朝礼で社内清掃の担当を決め、毎日報告を写真付きで共有』『クレームは48時間以内に全社で共有して対策』といった徹底を仕組み化しました。
結果、年間着工棟数が1.5倍、紹介比率は30%→65%へと改善。離職率も激減しました。高額商品でありながら選ばれ続ける理由は、ブランドでもデザインでもなく、日々の基本をバカにしない組織文化だったのです。
結論:派手な戦略より、地道な徹底が勝つ
住宅業界は変化の激しい市場です。時代に合わせた商品開発やSNS戦略、マーケティング戦術も確かに重要です。しかし、どれほど派手な戦略を掲げても、“土台”がグラついていては成果は続きません。
凡事徹底は、言い換えれば「継続力」「誠実さ」「謙虚さ」の結晶です。
私たち株式会社ソルトは、地域工務店の可能性を信じています。そして、その可能性を最大化する鍵は、誰もが見過ごしがちな“凡事”を、誰よりも徹底することにこそあると考えています。
「他社より商品が優れていない」「人手が足りない」「知名度がない」と悩む前に、自社の“当たり前”を見直してみてください。
きっとそこに、未来を変えるヒントがあるはずです。
※このコラムは株式会社ソルトの広報担当が、現場での経営支援実績をもとに構成した内容です。凡事徹底の実践法についてご関心のある方は、お気軽にご相談ください。