『InstagramやPinterestだけでいい家は建たない』と顧客に伝えていますか?
SNS隆盛の時代、家造りに関わる多くの情報をInstagramをはじめとする、多くのSNSから入手することができます。地域工務店もSNSによる自社紹介や広告による販売促進が主流になりつつあります。紙媒体での広告費はデザイン料と配布コストで数百万円になる事が一般的ですが、Instagramからだと月15~20万円で済ませられるというケースが多いですね。画像撮影や家具の設営費をかけたとしても、ひと月当たり50万円程度になると思います。特に地域工務店の場合は、自社営業エリアに絞って広告配信出来るのでとても良いです。まだまだ紙媒体が強いと言われる地方の工務店経営者もいらっしゃいますが、集客の手法としてコツをつかんでしまえばコストパフォーマンスが高いのはSNS広告でしょう。SNSをやっていない人どうするの?という声も聞こえてきますが、特にメインの住宅購入者層である30代前後のSNS利用率は50%超です。逆に新聞を日常的に読んでいるのは10%以下なので、いまや新聞折込広告は風前の灯火であり、雑誌掲載やポスティング広告もブランディング効果が明確でない限り厳しく、SNSは広告媒体として効果的であると言えます。
令和3年度の総務省の調査データによると、年代別のInstagram利用率は20代の78.6%・30代は57.1%、40代は50.3%、50代は38.7%となっています。ターゲット年代の2人に1人が利用しているという事になりますね。
(令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」より抜粋)
それに対して、同データによると30代の新聞購読率は10%を割り込んでしまっています。利用者率と比較するのは正確ではないかも知れませんが、メインの住宅購入者層ではほとんどの人が新聞を読んでいない、とも考えられます。
(令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」より抜粋)
このようにInstagramをメインとして、FacebookやPinterest、Youtubeも含めた複数のSNSや動画サイトは広告媒体として機能しています。そしてそれは新聞やTVなど旧来型メディア広告を凌駕してきていると言えます。同時に、SNSでは通常投稿によって自社の家造りについてデザインや素材感を伝える事ができます。また働いている方々の考えや価値観・企業風土なども投稿ににじみ出ます。私はマーケティングの連続がブランディングになると考えていますが、まさにそれは、日常の投稿の連続によってブランディングに繋げることができるのです。しかし、自社の強みをしっかり意識し、良い画像で投稿をしないと、いくら広告を出したとしても、そのほとんどは空振りに終わるでしょう。SNSでのポジショニングが明確であればあるほど、お客様とイーブンな関係で話をすることが出来ますが、他社のものまねや情報を寄せ集めただけだと、仮にお客様が来社してくださったとしても、投稿イメージとのギャップによって瞬時に候補から外れてしまいます。つまり表面的な投稿をいくら繰り返しても無駄なのです。SNSなどで表出する一部を見せるには、顧客には直接見えてこない自社の理念・デザインや性能に対する考え方、社員教育などを時間をかけて進めていくことが必要です。おそらくマーケティングや社員教育を含めたリブランディングには最短で半年、しっかりやると3年程度はかかるでしょう。しかし、これをやり切れれば一貫性のある工務店経営が実現できます。
一貫性のある経営が出来るようになると、例えば顧客が持参するInstagramやPinterestの画像について、しっかり対応し協議する事が出来るようになります。どんなデザインもすべてを鵜呑みにして何でもできます状態ですと、自社が大切にしている設計・デザイン・性能・素材などのバランスや、寸法がまるで台無しになる可能性があります。自社の家造りへの自信があれば、根拠を持った家造りの意見調整をする事も可能です。場合によってはハッキリと顧客に伝えることも必要になります。『性能とデザインの両立』や『素材選び』『間取りに対する考え方』『施工性』など様々な観点からプロとして顧客の信頼を勝ち取ることができれば、SNSでのプロモーションに拍車がかかり善循環が進んでいくことでしょう。
ところでInstagramという媒体において、特に地域工務店の皆さんはフォロワーの多さを競うゲームだと勘違いしているケースがあります。地域工務店の皆さんが集中すべきことは『自社営業エリアで家を建てる予定がある方に、いかに良質な情報を届けるか』という事です。確かに多くのフォロワーが付いているのは重要な事かも知れませんが、これは全国で有名になるためにやる強者の戦略です。つまり地域限定で局地戦をする地域工務店にとってInstagramはフォロワー数を競うゲームではなく、ターゲットにヒットさせることを主眼に置く方が重要です。