企業情報
企業名 | 株式会社加度商 |
概要 | 広島県尾道市を中心に、新築注文住宅のパイオニアとして名を馳せ、地域のトレンドを牽引してきた工務店。「素にして上質」を信条に、代々築き上げてきた基盤を活かしながら、変化する市場や情勢の間でさまざまな挑戦を続けている。 |
株式会社加度商
企業名 | 株式会社加度商 |
概要 | 広島県尾道市を中心に、新築注文住宅のパイオニアとして名を馳せ、地域のトレンドを牽引してきた工務店。「素にして上質」を信条に、代々築き上げてきた基盤を活かしながら、変化する市場や情勢の間でさまざまな挑戦を続けている。 |
「加度商はもともと建築の会社ではなかったんです。昭和27年(1952年)に先々代が創業した頃は、主にオガライトという固形燃料を商っていました。でも、冬場がメインの季節商品だったこと。そして、石油燃料の普及で徐々に需要が減少していき事業を転換していったんです。最初は燃料を扱っていた流れからお風呂に使う給湯器の卸を手がけてましたが、その中でユニットバスのリフォーム技術が求められるようになり、先代から不動産や住宅建築へと事業を広げていきました」
そう話してくれたのは、加度商の三代目社長の加度亮平さま。先代から事業を引き継いだのは平成24年(2012年)。いち早く自然素材に着目し、先進的なデザインや独自の断熱材を取り入れることで、加度商を地域で一目置かれる存在へと成長させていきました。
「自分で言うのもなんですが、地域でも最先端を行く工務店であるという自負がありました。素材・技術・デザイン・性能……どれをとっても、一歩先を行っていましたし、差別化もできていた。“加度商だからできる家づくり”が確立されていたんです」
しかし、その「自負」は、あくまでも「過去形」で語られたもの。なぜ過去形なのか。その理由をたずねると、加度さまはこう答えました。
「その自負をずっと持ち続けたことが、大きな課題を生んでいることに気づけていなかったんですよね」
その言葉が意味するのは何なのか?ここからは時系列を追いながら真相を探っていきましょう。
加度さまとSOLTの青木との交流は、SOLT創業以前に登ります。
「青木さんは、前職の工務店経営者時代から有名人でしたよ。いろいろな勉強会、セミナーをやられていて、その中で、広島エリアの集まりがあって知り合いました。それ以来、食事したりゴルフに行ったりする関係が続いていましたね」
2人の関係が変わったのは2021年7月。青木が加度商の経営支援をはじめたところから。
「当時は漠然とした課題感を抱えていました。会社の事業にも頭打ち感がありましたし、何か新しいことを仕掛けなければ……という焦りもあった。でも、何が問題なのか?何をすればいいのか?がわかっていなくて……そんなとき、青木さんがSOLTを創業してコンサルティングをはじめたと聞き、お願いすることにしました」
青木の支援がはじまる前のモヤモヤした状況。それを一変させたのは、そのあとの決算で明るみになったある「事実」でした。
住宅業界における決算とは、前年度の活動の結果が可視化される瞬間。つまり、青木が支援をはじめる前の経営状況が、大きな数字として明らかにされたときでもありました。
「売上だけを見たら過去最高だったんです。でも、そのことを全く喜べませんでした。なぜなら利益がほぼゼロだったから……正直、衝撃的なできごとでした」
この状況を受けて青木は「粗利率の改善が急務である」と指摘。しかし、最初はピンとこなかったと言います。
「それまでの自分は経営に対してどんぶり勘定でやってきていて、“儲かってないならもっと売ればいい”と思ってきました。でも、その考え方を青木さんにバッサリ否定されたんです」
当時、住宅業界はウッドショックによる原材料費高騰のまっただ中。にもかかわらず、加度商は販売価格の見直しが十分にはできておらず、売れば売るほど損をしてしまう状態に……青木が指摘したのは、まさにその点でした。
「青木さんは利益が確保できるように、原価や施工費、販売価格を徹底的に見直して、適正価格を導き出し、値上げを提案してくれました。でも、正直、そんな値段ではお客さまが離れてしまうんじゃないか……という不安があったんです」
しかし、実際に値上げを行ってみると、その不安は一気に払拭されたと言います。
「契約数に大きな変化がなかったんですよ。自社の価格が高いか安いかさえどんぶり勘定だった証拠ですよね。そこからは価格に見合う価値が伝わるようにホームページや広告、接客をブラッシュアップしながら、粗利改善を前提とした3カ年計画を立案してもらいました。そこでようやく“会社がよくなっていくこと”が見えてきたんです。実際に、支援開始から1年あまりで、収益は目に見えて改善していきましたからね」
売上げが高くても利益が出せなかったという厳しい現実。値上げをしてもお客さまが着いてきてくれたという結果。そして、粗利を改善した先に見えた会社の未来……青木による「経営の可視化」が、加度さまの意識を前向きなものへと変えていったようです。
実は加度さまは以前、大手経営コンサルタント会社の支援を受けていた時期もあったと言います。
「大手なだけはあって、得るものもありました。でも、教えてくれることがどうしても教科書的というか……“そうなんだろうな”とは思うんですけど、それを自社に落とし込むところまではいけなくて」
そんな加度さまの目に、SOLT青木の経営支援はどう映ったのでしょうか。
「青木さんは工務店の現場や実状をわかってくれる人。なぜこちらが困っているかを的確に見抜く目を持っているから、相談もしやすい。気を使わずに“粗利が低い!”となじってくるコンサルなんてなかなかいないでしょ?でも、それがいいんです」
「なじる」という穏やかではない言葉を出しながらも、加度さまの表情はなぜか少し嬉しそうに見えました。
「自分は他の会社を経験せずに、事業を継ぐかたちで加度商に入りました。それが一概にダメだとは思っていませんが、やはり経験や視点においては難しいと感じる部分はあります。青木さんはご自分が経営していた工務店だけでなく、さまざまなつながりから全国でたくさんの会社と経営者を見てきている人。その膨大な知識と情報に触れられることは、自分にとって大きいと思います」
加度さまが抱えていた悩みは、日本の工務店経営者の多くが抱えるもの。青木の存在が、その解決の一助になっている……とも言えそうです。
「収益性の低さ」という大きな課題が解決に向かっている今、加度さまの視線はどこへ向かっているのでしょうか。
「収益性の話もそうですが、社内の体制も変えて行けたらと思っています。今、青木さんとの会議には、私と幹部社員の2人で参加しているんですが、これって今までの加度商ではまったくない動きだったんです。社長がいて、他の社員は自分の専門分野の仕事しかしない。それが当たり前だった。でも今は、可視化された経営を共有して、私の右腕として行動してくれるようになっています。こういう関係性を強化していけたら、もっともっと強い会社にできると考えています」
力強く語ってくれた加度さま。最後に、これからの経営についてうかがいました。
「まだまだ課題はたくさんありますが、“課題がたくさんある”と理解できているだけで大きな進歩。人間って一人でいると、漠然とした“悩み”があっても、具体的な“課題”にすることが難しい。目の前の仕事が忙しいと“まあ、いいか、今はこれをやろう”と、甘えてしまう。でも、青木さんはそれを許してくれないんです。“粗利が低い!”とか、“ホームページがダサい!”とかって容赦なく指摘してくるので(笑)、これからも青木さん、そして社員たちと一緒に改善を続けて、再び、誰もが認める“地域のトップランナー”になりたいですね」
「加度商」の名が尾道、そして全国へと轟く未来も、そう遠くないのかも知れません。
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