次世代を見据えた地域工務店の収益化策
2023年頃から住宅・工務店業界の減速が取り沙汰されています。ここ半年は集客も一段と減少してきた感があります。地域工務店のみなさまも昨対比10~20%程度の受注棟数の減少を見込んでいる経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。以前から申し上げていることですが、コロナ禍におけるちょっとした新築バブルは終わりを告げました。ここでは今後の厳しい市場環境に対応できる筋肉質な経営が求められるでしょう。そのなかで収益性を高めるという観点でいくつか案を考えてみました。
1.少人数の経営(ゲリラ戦)
⑴設計の外注化(固定費の変動費化)
⑵建物の標準化/企画化
⑶収益用不動産の建築/運用/販売
⑷工務店同士の業務提携
⑸中高級(デザイン・高性能)分譲住宅事業
2.人財獲得により勝負する経営(正攻法)
⑴理念(パーパス)経営
⑵ブランディング
⑶地域シェア獲得(狭義&広義の多角化)リフォーム・リノベの展開など
⑷M&Aによる規模拡大
⑸上場
人口減少と共に市場が確実に縮小していくなかで、効率性を高めていくのか、それともシェアを取っていくのかの二択だと考えています。完工棟数がげんしょうするのであれば新築住宅の粗利益率(原価には人件費含まず)は30%以上を確保することが大前提になるでしょう。またリフォーム・リノベーション事業の本格化も確実に進めていく必要があると思います。
他方、国内では働き方改革が進んでいます。しかし、この改革の本質を捉えずにやや間違った考えをしている傾向もみられ、慢性的な人手不足もあいまって経営における人材マネジメントの難易度はかなり上がっています。この環境下で万全の組織づくりが出来る地域企業はそう多くはないでしょう。従って年間20~50棟の工務店は現在の財務・人材など経営資源をふまえて、今後の戦略をどのように立てていくのかをより具体的に考えていく必要があると思っています。
限られた人員で収益性の高い事業モデルをつくるのか、それとも一定の規模をもって進めていくのか、事業承継なども見据えながら、是非この機会に考えてみてはいかがでしょうか。